注 原文は旧漢字片仮名交じりであるが、漢字平仮名交じりに書き換え、適宜句読点、括弧を追加している。 陸軍服装規則 大正三年一月軍令陸第一号、大正四年七月軍令陸第五号、 大正四年十一月軍令陸第十四号改正 第一章 服装の種類及各種服装を用うる場合 第一条 陸軍軍人の服装は左の五種に区分す、但し第一号乃至第三号は将校、同相当官、准士官に限る。 一 正装 二 礼装 三 通常礼装 四 軍装 五 略装 第二条 正装を成す場合概左の如し 一 四方拝、朝拝、新年宴会、紀元節及天長節祝日 二 特に拝謁の為参内するとき 三 賢所参拝のとき 四 行幸、行啓ありたるとき、隊伍に列する者を除く 五 靖国神社大祭日(単独参拝するとき) 六 陸軍始並天長節祝日観兵式のとき 式を受くる者及び陪観者に限る 七 任官、叙位の事例拝受のとき 八 任官、叙位、叙勲御礼の為参内するとき 九 任官、叙位、叙勲、補職、著任の為申告するとき 十 勲章授与式のとき 授与者、授与者の副官、参列者、受章者及陪列者に限る、 但し受章者及陪列者以外の者は時宜に依り通常礼装を用うることを得 十一 命課布達式のとき 布達せらるる者に限る 十二 総代会葬のとき 十三 一般大礼服着用のとき 前項の外自家の賀儀葬祭にも正装を為すことを得 第三条 礼装を為す場合概左の如し 一 宮中若は皇族の晩餐に陪するとき 二 夜会其の他廉ある晩餐に列するとき 三 一般通常礼服着用のとき 前項の外自家の賀儀葬祭にも礼装を為すことを得 第四条 通常礼装を為す場合概左の如し 一 宮中若は皇族の午餐に陪するとき 二 観桜、観菊等の御宴に陪するとき 三 御座所に於て拝謁の為参内するとき 四 歳末御祝詞の為参内するとき 五 天機伺並節礼 第二条第八号の場合を除く の為参内するとき 六 展覧の場所に参列するとき 七 行幸、行啓等の場所に参集するとき 八 勲章授与式のとき 宮中賜授の式に依り勲章を拝受したる部下将校の為行う分列式に列する隊長に限る 九 特に上官の謁するとき 十 伺候式のとき 十一 観兵式陪観のとき 第二条第六号の場合及機動演習後の観兵式を除く 十二 廉ある午餐、園遊会等に列するとき 三 一般通常服着用のとき 前項の外自家の賀儀葬祭にも通常礼装を為すことを得 第五条 軍装を為す場合概左の如し 一 靖国神社大祭日(隊伍を為して参拝するとき) 二 観兵式 第二条第六号及第四条第八号の場合を除く 堵列、礼砲式又は儀仗服務のとき 三 勲章授与式のとき 第二条第十号及第四条第八号の場合を除く 四 命課布達式 布達者及布達せらるる者の部下軍隊に限る 宣誓式、入隊式又は除隊式のとき 五 禁闕守衛勤務に服するとき 六 動員部隊に属するとき 七 衛戍勤務に服する時 八 秋季演習及廉ある演習のとき 九 風紀衛兵服務のとき 十 憲兵警察勤務に服するとき 十一 軍法会議に列するとき 十二 下士以下にして将校の正装、礼装、通常礼装を為す場合に相当するとき 第六条 略装は前四条に該当せざる場合に之を用う 第七条 動員部隊に属するものは正装、礼装、通常礼装を為すべき場合に於て軍装 宮中に参内するときは通常礼装 を用う 守備又は特別の任務により衛戍地外に駐屯する部隊に属するものにして正装、礼装を為すべき場合に於て、 之を整うることを得ざるときは通常礼装、通常礼装を整うることを得ざるときは軍装を用う 第二章 着装法 第八条 正装は左表に列記するものを着用す目次に戻る第九条 礼装は前立及飾帯を用いざるの外正装に同じ 第十条 通常礼装は左表に列記するものを着用す
品目 着装法及特別の規定 正帽 前立 正衣 正袴 飾帯 騎兵科将校及各兵科各部の准士官は之を用いず(図一) 飾緒 将官及参謀の職に在る者之を用う 懸章 皇族付武官、副官及週番将校、特務曹長之を用う
右肩より左脇に懸く短靴 騎兵科将校特、務曹長を除くの外之を用う 長靴 騎兵科将校、特務曹長之を用う 刀 正緒 刀帯 共 乗馬のときは上部の佩環を鉤鈕に懸けず(第一図其三、第三図)
騎兵科将校、特務曹長は正衣の下に佩う第十一条 将校、同相当官、准士官の軍装は左表に列記するものを着用す
品目 着装法及特別の規定 軍帽 軍楽部将校、相当官、准士官は暑中日覆を付す 軍衣 暑中以外に於て之を用う 長袴 軍楽部は正袴 暑中以外に於て騎兵科将校、特務曹長を除くの外之を用う 短袴 暑中以外に於て騎兵科将校、特務曹長之を用う 夏衣 暑中之を用う 夏長袴 暑中騎兵科将校、特務曹長を除くの他之を用う 夏短袴 暑中騎兵科将校、特務曹長之を用う 飾緒 参謀の職に在る者之を用う(第二図) 懸章 皇族付武官、副官及週番将校、特務曹長之を用う
右肩より左脇に懸く短靴 騎兵科将校特、務曹長を除くの外之を用う 長靴 騎兵科将校、特務曹長之を用う 刀 正緒 刀帯 共 衣の下に佩う徒歩のときは、何れの場合と雖上部の佩環を鉤鈕に懸け乗馬のときは之を懸けず
(第三図)備考 乗馬本分の将校 騎兵を除く 同相当官にして第四条第一号乃至第五号の場合を除くの他、已むを得ざるときは長袴(夏長袴)、短靴に代え短袴(夏短袴)、長靴を用ううるこちを得 第十二条 歩兵、工兵科下士以下の軍装は左表に列記するものを着用す
品目 着装法 特別の規定 乗馬本分の者 乗馬本分に非ざる者 軍帽 軍楽部将校、相当官、准士官は暑中日覆を付す 軍衣 暑中以外に於て短袴と併用す 暑中以外に於いて併用す 長袴 軍楽部は正袴 暑中夏衣と併用するも妨げなし / 短袴 暑中以外に於て軍衣と併用す 巻脚半を用うるときに限り之を用うることを得 夏衣 暑中之を用う 暑中之を用う 夏長袴 暑中軍衣と併用するも妨げなし / 夏短袴 暑中之を用う 巻脚半を用うるときに限り之を用うることを得 飾緒 (第二図) 参謀の職に在るもの之を用う / 懸章 右肩より左脇に懸く 皇族付武官、副官、週番及衛戍巡察将校之を用う 週番及衛戍巡察将校、特務曹長之を用う 短靴 / 長靴 / 巻脚半 袴上に着す / 隊伍に列するとき用う、但し隊伍に列せざる場合と雖時宜により之を用うることを得 背嚢 / 軍楽部将校、相当官、准士官を除くの外隊伍に列するとき用う 外套若は雨覆 着用するときの外は、巻て背嚢若は鞍尾に付す、背嚢を負わずして隊伍に列するときは巻て左肩より右脇に懸く 隊伍に列するとき用う 隊伍に列するとき用う、但し背嚢を負わずして隊伍に列するとき及軍楽部将校、相当官、准士官は時宜により用いざるも妨げなし 水筒 左肩より右脇に懸く 隊伍に列するとき用う 図嚢 右腰に垂下す 事務に服する者、隊伍に列するとき用う 刀 正緒 刀帯 共 衣の下に佩う徒歩のときは、何れの場合と雖上部の佩鐶を鉤鈕に懸け乗馬のときは之を懸けず
(第三図)拳銃 将校隊伍に列するとき用う、其の他の場合に在りても用うることを得 隊伍に列するとき用うることを得 双眼鏡 将校隊伍に列するとき用う 各兵科尉官、特務曹長隊伍に列するとき用う 備考 一 表中の斜線は用いざるものを示す
二 第五条第一号乃至第四号其の他儀式の場合に於ては水筒、図嚢、拳銃、双眼鏡は之を用いざるものとす
三 第五条第五号及第七号の場合に於ては前号諸品を適宜省略するの外、背嚢をも省略することを得
四 前二号の場合 第五条第四号の場合を除く に於て水筒は時宜により之を用うることを得
五 第五条第六号及第八号等の場合に在りても、時宜により水筒、図嚢、拳銃、双眼鏡は適宜之を省略することを得第十三条 憲兵、騎兵、砲兵、輜重兵科下士以下 砲兵諸工長及輸卒を除く の軍装は左表に列記するものを着用す
品目 着装法 特別の規定 曹長 軍曹以下 軍帽 軍衣 襟布共 暑中以外に於いて併用す 暑中以外に於いて併用す 軍袴 暑中夏衣と併用するも妨げなし 夏衣 襟布共 暑中之を用う 暑中之を用う 夏袴 暑中軍衣と併用するも妨げなし 編上靴 巻脚半 袴上に着す 隊伍に列せざるときは用いざるも妨げなし 隊伍に列せざるときは用いざるも妨げなし 背嚢 隊伍に列するとき用う 隊伍に列するとき用う 外套 着用するときの外は巻て背嚢に付し、
若は巻て左肩より右脇に懸く携帯天幕 背嚢に付す 飯盒 携帯器具
手旗所持する者隊伍に列するとき用う 所持する者隊伍に列するとき用う 水筒 左肩より右脇に懸く 隊伍に列するとき用う 隊伍に列するとき用う 雑嚢 刀 属品共 衣若は外套の上に佩い、
梯形鐶を剣留めに鉤け佩鐶を鉤鈕に懸く隊外に服務する軍曹伍長之を用う 銃 弾薬盒共 / 所持する者隊伍に列するとき用う 銃剣 属品共 / 刀を用うるものを除くの外之を用う 喇叭 喇叭長隊伍に列するとき用う 喇叭長、喇叭手隊伍に列するとき用う 備考 一 表中の斜線は用いざるものを示す
二 第五条第一号乃至第四号其の他儀式の場合並第五号及第九号の場合に於ては、携帯天幕、飯盒、携帯器具、手旗、水筒、雑嚢は之を用いざるものとす、但し水筒は第五条第四号及第九号の場合の外、時宜により之を用うることを得
三 第五条第六号乃至第八号等の場合に在りても時宜により前号諸品を適宜省略することを得
四 支給品本表規定に合せざるものあるときは、本表及第十三条に準じて取捨着用するものとす
五 乗馬を有する電信対付下士以下にして、乗馬するときの服装は第十三条砲兵下士以下に準ず第十四条 砲兵諸工長、各部下士以下、輸卒の軍装は左表に列記するものを着用す
品目 着装法 特別の規定 騎兵、砲兵、輜重兵曹長 憲兵下士、上等兵 騎兵軍曹以下 砲兵軍曹以下 輜重兵軍曹以下 軍帽 軍衣 襟布共 暑中以外に於て併用す 暑中以外に於て併用す 暑中以外に於て併用す 暑中以外に於て併用す 暑中以外に於て併用す 軍袴 暑中夏衣と併用するも妨げなし 夏衣 襟布共 暑中之を用う 暑中之を用う 暑中之を用う 暑中之を用う 暑中之を用う 夏袴 暑中軍衣と併用するも妨げなし 編上靴 砲兵徒歩するとき之を用う 動員部隊に属し乗馬せざる者之を用う / 徒歩するとき之を用う / 長靴 隊伍に列するとき及乗馬のときは拍車を付す 編上靴を穿つ者を除くの外之を用う 編上靴を穿つ者を除くの外之を用う 乗馬するとき之を用う 巻脚半 袴上に着す 編上靴を穿つ者之を用う、但し隊伍に列せざるときは用いざるも妨げなし 編上靴を穿つ者之を用う / 編上靴を穿つ者之を用う、但し隊伍に列せざるときは用いざるも妨げなし / 背嚢 砲兵は場合に依り前車に付す 砲兵徒歩にて隊伍に列するとき用う 動員部隊に属し乗馬せざる者之を用う / 徒歩にて隊伍に列するとき用う / 外套 憲兵は外套若は雨覆 着用するときの外は巻て背嚢若は鞍に付す、
背嚢を負わざるときは巻て左肩より右脇に懸く隊伍に列するとき用う 動員部隊に属するとき及演習に出場する時用う 隊伍に列するとき用う 隊伍に列するとき用う 隊伍に列するとき用う 携帯天幕 背嚢若は鞍に付す 飯盒 徒歩者は背嚢に付し、乗馬者は旅嚢に入れる 携帯器具 背嚢に付す / / / 所持する者隊伍に列するとき用う / 手旗 背嚢若は鞍に付す / / / / 水筒 銃を負い又は拳銃を携帯する者及喇叭長、喇叭手にして乗馬する者は、右肩より左脇に懸け、其の他の者は之に反す 隊伍に列するとき用う 動員部隊に属するとき及演習に出場する時用う 隊伍に列するとき用う 隊伍に列するとき用う 隊伍に列するとき用う 雑嚢 左肩より右脇に懸く 重砲兵(徒歩隊)隊伍に列するとき用う / 重砲兵(徒歩隊)隊伍に列するとき用う / 刀 属品共 衣若は外套の上に佩い、
梯形鐶を剣留めに鉤け佩鐶を鉤鈕に懸く
徒歩のときは何れの場合と雖佩鐶を鉤鈕に懸け、
乗馬のときは之を懸けず隊外に服務する軍曹、伍長之を用う 銃 弾薬盒共 / / 所持する者隊伍に列するとき用う、近衛騎兵は儀仗及衛兵勤務の際銃の代りに槍を用う 重砲兵(繋駕すべき部隊の砲車付砲手を除く)徒歩にて隊伍に列するとき用う 所持する者隊伍に列するとき用う 銃剣 属品共 / / / 刀を用うるものを除くの外之を用う / 拳銃 弾薬盒共 携帯革を以て左肩より右脇に懸く 所持する者隊伍に列するとき用う 警察勤務に服するとき用う 所持する者隊伍に列するとき用う 所持する者隊伍に列するとき用う 所持する者隊伍に列するとき用う 双眼鏡 右肩より左脇に懸く / / 砲隊鏡 背に負う / / / / 喇叭 / / 喇叭長、喇叭手隊伍に列するとき用う 喇叭長、喇叭手隊伍に列するとき用う 喇叭長、喇叭手隊伍に列するとき用う 備考 一 表中の斜線は用いざるものを示す
二 第五条第一号乃至第四号其の他儀式の場合並第五号及第九号の場合に於ては、携帯天幕、飯盒、携帯器具、手旗、水筒、雑嚢、双眼鏡、砲隊鏡は之を用いざるものとす、但し第七号の場合に於て銃を携えざる者は背嚢をも用いざるものとす
水筒は第五条第四号及第九号の場合の外、時宜により之を用うることを得
三 第五条第六号乃至第八号等の場合に在りても時宜により前号諸品並憲兵の背嚢を適宜省略することを得
四 支給品本表規定に合せざるときは、本表に準じて取捨着用するものとす第十五条 下士以下諸学校卒業式、修業式等式場に参列の場合に於いては、隊伍に列するときに在りても、 単独の場合に於ける軍曹を用うることを得、この場合に於ける将校以下の軍装もまた之に準ず。 教育程度により正規の軍曹をなし得ざる兵卒に在りても、亦之に準ずることを得。 第五条第四号の場合を除く 第十六条 略装は概軍装に準ず但し将校同相当准士官 騎兵科に在りては対外服務の者及隊付の者にして、隊務に服せざるときに限る は、 長袴(夏長袴)若は短袴(夏短袴)及短靴若は長靴何れをも使用することを得。 前項に依り短袴(夏短袴)、短靴を併用するは、巻脚半を著する時に限る。 第十七条 将校同相当官准士官の馬装は、左表に列記するものを用い、常に其の服装に相応せしむるものとす。(第四図、第五図)
品目 着装法 特別の規定 砲兵諸工長 各部下士以下 輸卒 軍帽 軍楽部の者は暑中日覆を付す 軍衣 襟布共 暑中以外に於て併用す 暑中以外に於て併用す 暑中以外に於て併用す 軍袴 暑中夏衣と併用するも妨げなし 夏衣 襟布共 暑中之を用う 暑中之を用う 暑中之を用う 夏袴 暑中軍衣と併用するも妨げなし 編上靴 乗馬をすべき者を除くの外之を用う 乗馬をすべき者を除くの外之を用う 長靴 隊伍に列するとき及乗馬のときは拍車を付す 乗馬をすべき者を除くの外之を用う 乗馬をすべき者を除くの外之を用う / 巻脚半 袴上に着す 編上靴を穿つ者之を用う、但し隊伍に列せざるときは用いざるも妨げなし 編上靴を穿つ者之を用う、但し隊伍に列せざるときは用いざるも妨げなし 隊伍に列せざるときは用いざるも妨げなし 背嚢 乗馬をすべき者を除くの外隊伍に列するとき用う 乗馬をすべき者を除くの外隊伍に列するとき用う / 背負袋 右肩より左脇に懸く / / 隊伍に列するとき用う 外套 着用するときの外は巻て背嚢若は鞍に付す、
背嚢を負わざるときは巻て左肩より右脇に懸く隊伍に列するとき用う 隊伍に列するとき用う、但し軍楽部の者は時宜により用いざるも妨げなし 携帯天幕 背嚢(背負袋)若は鞍に付す 飯盒 徒歩者は背嚢に付し(背負袋を負う者は之に入れ)、乗馬者は旅嚢に入れる 水筒 衛生部、獣医部、軍楽部の者は右肩より左脇に懸け、其の他の者は之に反す 隊伍に列するとき用う 雑嚢 左肩より右脇に懸く / 軍楽部の者動員部隊に属するとき用う / 医療嚢
(包帯嚢)左肩より右脇に懸く / 看護長(看護卒)隊伍に列するとき用う / 馬薬嚢 / 獣医部の者隊伍に列するとき用う / 銃剣 属品共 備考 一 表中の斜線は用いざるものを示す
二 第五条第一号乃至第四号其の他儀式の場合並第五号の場合に於ては、背嚢、背負袋、携帯天幕、飯盒、水筒は之を用いざるものとす、但し水筒は第五条第四号の場合の外、時宜により之を用うることを得
三 第五条第六号乃至第八号等の場合に在りても時宜により前号諸品並雑嚢を適宜省略することを得
四 支給品本表規定に合せざるものあるときは、本表及第十三条に準じて取捨着用するものとす第十八条 下士以下の馬装は左の各号による。(第六図) 一 軍装に在りては、頭絡、大勒韁、小勒韁、大勒銜、小勒銜、轡鎖、乗鞍、腹帯、鐙、鐙革、鞍下毛布、鞍嚢、膝覆、野繋勒、旅嚢、水嚢を用う。 但し第五条第一号乃至第四号其の他儀式の場合並第五号の場合に於ては、膝覆、野繋勒、旅嚢、水嚢は之を用いず、 同条第六号乃至第八号及第十号等の場合に在りても、時宜により之を省略することを得。 前項の外野砲兵、騎砲兵、重砲兵(繋駕する場合に限る)隊の車長及其の他車両編成の隊に属する軍曹以下は、 鞍具を用い近衛騎兵は儀式の場合に鞍覆を用う。 二 略装に在りては革製水勒を用うることを得るの外、概軍装に準じて取捨す。 第三章 雑則 第十九条 本規則中暑中と称するは六月一日より九月盡日迄を云う。但し気候に依り必要と認むるときは、東京衛戍総督、衛戍司令官 (衛戍地以外に在りては該地高級団隊長)に於て其の期間を伸縮することを得。 第二十条 東京衛戍総督及衛戍司令官は、当該衛戍地内に屯在する軍人の服装を斉一ならしむるの必要あるときは、 本規則の範囲内に於て其の著装法をさだむることを得、各部隊長勤務、演習等の為当該部隊に於ける服装の斉一を要するとき亦同じ 第二十一条 外套は何れの服装を論ぜず雨雪のとき又は防寒の為室外に於て著用し、軍装、略装に在りては防寒の為室内に於ても亦之を著用することを得。 但し儀式の場所に在りては雨雪のとき及上官の居室に在りては、武装したるとき又は許可を得たるときの外、之を著用することを許さず。 第二十二条 雨覆は室外に於て外套と併用し、又は単に之のみ著用するものとす。 第二十三条 勲章及記章の佩用は左の各号に依る。 一 勲章及記章は正装、礼装、通常礼装及軍装に之を佩用する者とす。但し略装に在りても軍装に準じ之を佩用することを得。 二 菊花章頸飾及大綬を以て佩うる勲章は正装、礼装にのみ佩用し、其の他の服装には其の副章のみを佩用するものとす。 三 通常礼装及軍装に在りては時宜に依り勲章等を表する最上級の勲章及金鵄勲章又は其の一種(第四条第一号乃至第七号 其の他勲等を表示する必要ある場合には、勲等を表する最上級の勲章)のみを佩用することを得。 この場合に於ては記章を佩用せざるものとす。 四 軍装に於て勤務若しくは演習等の場合(廉あるときを除く)には勲章、記章を佩用せざることを得。 第二十四条 副官にして懸章を佩用すべき者は左記の者に限る。但し参謀の職と兼勤する者に在りては飾緒のみを佩用するものとす。 一 元帥副官 二 軍事参議官副官 三 陸軍省副官 四 参謀本部副官 五 教育総監部副官 六 東京衛戍総督部副官 七 台湾総督府陸軍副官及台湾総督府副官たる陸軍武官 八 関東都督府陸軍副官及関東都督府副官たる陸軍武官 九 朝鮮総督府専属副官たる陸軍武官 十 将官を長とする軍隊の副官 十一 将官を長とする要塞副官 第二十五条 懸章は皇族付武官に在りては皇族に、副官に在りては特に長官に随従し、若は勤務上必要あるときの外、 週番及衛戍巡察将校特務曹長に在りては勤務を執るときの外は之を佩用せざるも妨げなし。 第二十六条 懸章及参謀の職に在る者の飾緒は、外套を着用するときに在りては外套の上に佩用するものとす。 但し前条の場合に於ては之を佩用せざることを得。 第二十七条 黄絹絲若は黄毛絲製飾緒は軍曹に於て勤務若は演習等の場合(廉あるときを除く)及略装に於てのみ用うるものとす。 第二十八条 将校同相当官准士官は何れの服装に在りても白色皮手袋を用うるものとす。 但し軍曹に於て勤務若は演習等の場合(廉あるときを除く)及略装に在りては煤、茶、茶褐色革製 又は白、鼠、茶、茶褐色莫大小製のものを用うることを得。 下士以下に在りては手套の給与を受くる者と雖勤務、演習其他の必要ある場合の外、之を用いざるものとす。 第二十九条 乗馬本分の将校同相当官は、靴に拍車を付し短靴を穿つ。 将校同相当官准士官は(巻脚半を着用するときを除く)総て袴に留革を付着するものとす。 但し略装に於て徒歩の場合は留革を付着せざることを得。
品目 特別の規定 正装及礼装 通常礼装 軍装 頭絡、大勒韁、小勒韁、大勒銜
小勒銜、轡鎖、乗鞍
腹帯、鐙、鐙革、馬氈鞍嚢 / 隊伍に列するとき用う 鞍嚢外覆 / / 鞍尾、野繋勒、旅嚢 / / 隊伍に列するとき用う 備考 一 表中の斜線は用いざるものを示す
二 准士官に在りては、馬氈に代え鞍下毛布を用い、鞍嚢外覆を用いざるものとす。但し近衛騎兵は儀式の場合に鞍覆を用う。
三 第五条第一号乃至第四号其の他儀式の場合並第五号の場合に於ては、野繋勒、旅嚢を用いず、同条第六号乃至第八号等の場合に在りても、時宜により之を省略することを得。
四 略装に在りては、概軍装に準じて取捨す。