鉄道省(鉄道省教習所)



鉄道省教習所とは
鉄道省教習所とは、鉄道省職員の中央教育要請施設である。
普通部及び高等部の2学部があり、各部の修業期間は2ヵ年。
鉄道業務に必要とする高等学術及び技能を教授し、
現業職員の幹部要員を養成する。

鉄道省教習所の歴史
鉄道省教習所は明治42年に鉄道員職員中央教習所として設置された。
大正10年、鉄道50年祝典に際し鉄道省の教育機関の拡充が行われた。
これにより大正10年10月14日に鉄道省教習所規定を廃止し、新たに鉄道省教習所規定を制定、
大正11年4月1日より同規定が施工され、鉄道省教習所となった。
なお、鉄道省教習所規定は大正11年12月27日に部分改正が行われた。

学部及び定員
鉄道省教習所の学部と学科、生徒定員は以下のとおり。
全学部科とも修業期間は2年とし、新規入学は定員の半数。

普通部
 業務科:200名
 機械科:80名
 土木科:40名
 電気科:60名

高等部
 行政科:24名
 機械科:20名
 土木科:20名
 電気科:16名

受験資格
普通部各科
受験年齢:17歳〜22歳であること。
     但し、鉄道省職員に限り17歳〜33歳であること。

必須学歴:鉄道局教習所普通部卒業、中学校卒業、専門学校入学者試験検定合格者、
     中学校と同程度の商業学校卒業(業務課受験に限る)、
     工業学校卒業(機械科、土木科、電気科受験に限る)のいずれかであること。
     但し、2年以上鉄道部内に奉職し、成績優秀なる者は上記学歴を要さない。   

高等部各科
勤 務 暦:3年以上鉄道部内において入学すべき科に相当する業務に従事し、成績優秀なる者。
     (相当する業務とは、行政科:運輸業務その他各方面の事務、機械科:汽車又は工作の技術業務、
      土木科及び電気科:夫々の技術業務とし、教習所入学中や長期欠勤等を除く実際に業務に従事した期間)

必須学歴:鉄道教習所普通部卒業、旧鉄道省教習所卒業、鉄道局教習所普通部卒業、
     中学校卒業、専門学校入学者試験検定合格、
     中学校と同等程度の商業学校又は工業学校卒業のいずれかであること。
     但し、判任官であるものは上記学歴を要さない。

入試科目
普通部
普通部入学試験は学科試験、身体検査及び人物考査を実施する。
学科試験は各科ごと以下の科目について中学校卒業程度とする。
業務科:国語、漢文、英語、数学(算術、代数、平面幾何)、地理、歴史
其他科:国語、英語、数学(算術、代数、幾何、三角関数)、物理、化学
身体検査及び人物考査は学科試験合格者に行う。

高等部
高等部入学試験は学科試験、身体検査及び人物考査を実施する。
学科試験は各科ごと以下の科目について普通部卒業程度とする。
行政科:国語、英語、法学通論、経済学、旅客及び貨物、線路及び保安装置、車両
機械科:英語、数学、力学、材料強弱学、熱及び熱機関、機関車及び脚貨車、線路及び保安装置
土木科:英語、数学、応用力学、測量、材料及び施工、線路及び保安装置、橋梁
電気科:英語、数学、電気及び磁気、発電機及び電動機、発変電所、電気通信及び電気信号、電灯電力及び電気鉄道
身体検査及び人物考査は学科試験合格者に行う。

在学中の兵役
在学中に兵役に服すものは、期間が120日以内であれば在学のまま、
それ以上のときは退学とする。
但し、除隊前に予め復学を願い出るものは、教育上支障なき限り相当学年に編入復学させる。

身分及び給与
鉄道部外から入学した生徒は雇員とし、日給1円20銭を支給。
鉄道部内から入学した生徒は入学前の身分給与を継承する。
但し、入学前傭人であった者は在学中雇員とする。
被服其の他学習用具は給与又は貸与され、授業料は不要である。
在学中の昇給賞与は一般職員に準ずる。
普通部生徒は寄宿舎に入り、寄宿舎の1ヶ月の費用は15円で自習用机及び寝具等を貸与される。
なお、病気其の他已むを得ざる自由のあるときはこの限りでない。

卒業後の待遇
卒業後に従事する業務は普通部の場合以下のとおりとし、高等部もほぼ同様。
 業務科:主として鉄道の旅客貨物の運輸業務に従事
 機械科:主として機関車運転業務と車両の検査修繕業務に従事
 土木科:主として保線建築等の業務に従事
 電気科:主として電気者運転、電力輸送、電気通信業務に従事
卒業生の身分及び給与については特別に定められてはいないが、
普通部卒業生は最低月俸50円以上を支給され、身分は当初2年くらいを雇員とし、その後伴任官に任用される。
高等部卒業生は普通部卒業生に比し昇進も早くなる。

卒業後の義務
卒業生は修業期間の2倍に相当する期間(4年間)を鉄道部内に奉職する義務を有す。
在学中又は義務期間中に疾病又は自己の都合により退学退官退職、鉄道部外に転官転職し退学を命ぜられ、
又は刑の宣告もしくは懲戒の処分により免官免職となったときは、在学中支給を受けた給料其の他の給与の全部又は一部を弁償させる。
但し、情状により弁償を免除することもある。

募集時期及び試験時期
受験者の募集は毎年1階12月又は1月に発表される。
(大正11年度は大正10年12月28日、大正12年度は大正11年12月27日に発表)
入学試験は毎年3月中に行われる。
(大正11年度は普通部は3月15日から3日間、高等部は3月1日から4日間、
 大正12年度は普通部は3月12日から3日間、高等部は3月5日から4日間実施)

入学志願手続
受験希望者は入学願書に以下の書類を添えて所定の期日までに、
鉄道職員は所属長、部外者は鉄道省教習所に夫々提出する。
1.履歴書
2.鉄道局教習所不粒、中学校、商業学校、工業学校または専門学校入学者試験検定合格の成績証明書
 なお、在学中のものは卒業直後に成績証明書に追加すべき卒業証明書を提出する
 但し、鉄道省教習所普通部及び旧鉄道省教習所卒業者はこれを要さない
3.最近の写真
 (脱帽で手札形台紙のないもの、裏面に志望部科名及び氏名を自署)



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