『大日本帝國』について

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此処では大正時代の我が国「大日本帝國」を理解する上で必要となってくる情報を、
本当に基本的な常識範囲の事から、今現在は余り詳しく知られて居ない範囲まで、
極力当時の資料(一部昭和)を元にまとめて行こうと思います。

尚、あくまでも「大日本帝國」の公式見解や当時の資料等に基いて再現して行くため、
現在の「日本国」で一般に云われている内容とは異なる部分や、
少々過大に評価されている部分があります。

当時の表現に合わせてあるため表現が古い所がありますが、
差別的な意思があるわけではありません。


辞書の上の我が国(大正14年第1版・昭和6年第82版『廣辭林』より) 帝國 天皇陛下のしろしめす我日本国。皇国。
「日本」の国号 ヒノモト、ニホン等とも称するが、 ニッポンと読むのが正確な読み方である。 国号は大日本帝国(ダイニッポンテイコク)
国旗「日の丸」 明治3年海外諸国との関係が繁く為るに伴い国旗及諸旗章について定める事となった。 其の中身は、 「日本国旗は白布に日章を表わせるものとし縦径は横径の3分の2、 日の直径は縦径の5分の3と規定せり」 明治5年12月に日章旗を国旗として定めた。 又同年「自今開港場県庁へ国旗を可掲事」との布告。 明治6年に東京府より祭日及祝日に人民は国旗を掲げる事を出願。 其の結果「士民一般国旗掲揚場方不苦旨」を全国に指令。 所謂旗日が広まっていった。
国体 我大日本帝國の国体は世界万邦に冠絶し他に比類なき金甌無欠の君主国体である。 即ち今上天皇陛下が主権を有する。 其主要な特徴は以下の通りである。 一 国体永久不変にして皇統一系なること 二 開闢以来外侮を受けず歴史に汚点を記せざること 三 国家の肇造宏遠なること 四 純粋なる君主国体なること 五 君国一体なること 六 皇室と臣民との関係緊密にして君臣一家を成せること 補足 国体とは 国家の成立の状態。くにがら。 国家を統治権の存在上体によりて分かつ区分。
皇紀、紀元 皇紀とは神武天皇の即位したまいし年を0年とした我国独自の暦。 西暦(キリスト暦)の紀元より660年前が紀元である。
国歌「君が代」 歌詞は1千年前の古今集より選出し、林廣守氏の作曲、 海軍省御雇軍楽教師フランツ・エツケルト(独逸人)が西洋風の和声を付し、 明治13年11月3日の天長節に初めて明治大帝の御前にて演奏。 爾来陸海軍軍楽隊に於いて国歌として用いられたが、 一般には広まって居なかった。 明治23年、文部省が祝祭日唱歌を選定した際此の曲を国歌として定め、 以後広く国民一般によって歌唱される事となる。 世界各国の国歌の旋律が激越急迫のに対して、 「典雅にして壯重、我皇室の御繁栄を奉頌し 我国歌の隆運を祝福する為には 其歌詞、其曲譜真に世界無比の国歌と言うべし」 豆知識 君が代には現在歌われているものとは別の旋律のものがある。 之は明治3年に薩摩藩が薩摩軍楽隊音楽師の英吉利人フエントンに作曲させたものである。 この外国風旋律が耳になじまぬ明治大帝より 「此れは人々が歌っているか?」 とのご質問があり、其の質問に恐縮した海軍より 「雅楽風な旋律に改めるべき」 との意見が出、宮内省が楽隊に作曲を依頼。 此れによって完成したのが現在も歌い次がれる国歌『君が代』である。 君が代とは元々相手の長寿を祝いたたえる歌であるらしい。 (必ずしも天皇陛下を対し奉りということではないらしい。
大日本帝國憲法 我帝國憲法は欽定憲法且成文憲法にして、明治20年2月11日の紀元節に発布。 補足 欽定憲法 勅命により制定して発布された憲法 成文憲法 文書により発布された憲法
帝國議会、帝國議事堂 帝國議会 天皇の立法行為に参与し、予算及法律の成立に協賛する憲法上の合議機関、貴族院と衆議院とより為る 貴族院 貴族院議員によって組織される帝國議会の上院。 貴族院議員 皇族議員・有爵議員・勅任議員に分けられ、 皇太子は18歳、其の他の皇族は20歳になると議員に列せられる。 公・侯爵は25歳以上で終身議員、伯・子・男爵は25歳以上で任期7年の議員。 勲功、卓識ある30歳以上の者は終身、各府県15名の多額納税者は任期7年の勅任議員となる。 衆議院 衆議院議員によって組織される帝國議会の下院 貴族院に先だって予算案を審議する。 衆議院議員 選挙によって当選した者で国会議員、代議士と呼ばれる。 任期は衆議院の解散がなければ4年。解散の際はこの限りではない。 30歳以上の帝國臣民たる男子は被選挙権(選挙に立候補する権利)を有する。 25歳以上帝國臣民たる男子で、選挙人名簿調整の1年以上前から其の選挙区内に住所を持つものが選挙権を有す。 (普通選挙制度移行以前は一定額の税金を納付する事が条件となる 新議事堂は昭和十一年完成
帝國陸軍、帝國海軍の位置づけ 『我国の軍隊は世々天皇の統率し給う所にぞある・・・』軍人勅諭冒頭部より 我帝国陸海軍は議会等に属さず、直接に皇室に隷属するものである。 兵馬の大権を臣民に委付せず皇室に収めるは、皇祖皇宗の遺制にして維新大業の一なりとするためである。 故に我帝國憲法には陸海軍の統帥、編成及常備兵額の決定、宣戦講和などの軍隊に関する事項は、 全て天皇の大権に属し、天皇の専行し給う所にあると明示されている。 以上のように軍隊は天皇に直属し、其御信認は特に篤く、 明治大帝は 『朕は汝等軍人の大元帥なるぞされば朕は汝等を股肱と頼み汝等は朕を頭首と仰ぎて其親は特に深かるべき 朕が国家を保護して上天の恵に応し粗相の恩に報いまいらすることを得るも得ざるも 汝等軍人が其職を尽くすと尽くさざるるとに由るぞかし』 と宣い、今上天皇陛下(大正天皇)の勅語に在りては、 『朕は朕が統率する所の軍隊は即ち是皇考の慈育愛撫し給いたる所の軍隊なるを念い 汝等軍人の忠勇に信倚し皇考の偉業を紹述し倍々皇国の光威を顕彰し億兆の福祉を増進せんことを冀う』 と仰せ給う。
国土 大正5年大日本帝國全図 国土は日本列島及び朝鮮半島からなって居り、其の他南洋群島委任統治領、満州租借地(関東州)を持つ。 (日本列島=樺太(南部)、千島列島北海道、本州、四国、九州、琉球列島、台湾など 国土の総面積は凡そ67万5000平方キロメートルで、本州と朝鮮半島が夫々3分の1を占めている。 内地の北東部は寒さが厳しく、南西部は暑さが厳しいものの、 大部分は気候温和にして雨量豊か、そして土地が肥えている。 其の為山がちな国土であるが様々な農産物や林産物が収穫できる。 又、所々では石炭や銅などの鉱山物も産出する。 殆どの川は急流であり交通に利用される事は少ないが、 灌漑や発電に利用され、川魚等も豊富である。 近海には暖流や寒流が流れているため水産物も豊富である。 よって、農・林・鉱・水産業が大いに発達しており、 更に明治以降の開発により工業も発達している。 其れに伴い商業・貿易業も盛んである。 交通に関しても道路・鉄道・航路が開けており、 郵便・電信・電話もいきわたっている。
国民 国民の総数は9000万人を超え、其の大部分である4分の3は大和民族である。 次に多いのが朝鮮半島に住む2000万の朝鮮民族で4分の1に近い人数である。 其の他少数の民族が以下の場所に住んでいる。 台湾には支那大陸より移住した約430万の支那民族と10余万の土人(高砂民族)。 北海道本島と千島・樺太にはアイヌ民族と樺太には其の他土人。 又、諸外国に移住している大和民族は凡そ60万人とされている 補足 大和民族  古来万世一系の天皇の統御の下にありて我日本国を組織せる民族。 台湾蕃族  台湾に土着する蕃族、「マライ」種族という、生蕃と熟蕃とあり、       熟蕃は自然淘汰の結果近き将来には遂にどうか絶滅すべしと称せらる、       生蕃は古来峻険なる山地に籠居し、依然として元始状態を保持す。 高砂民族  上記の台湾原住民族。伝統的に焼畑による陸稲、粟の栽培を行う。       山岳民族であるため、身体能力は極めて高い。
大正時代の3府43県と其の他 地方行政を円滑に行うため、我が国の国土を3府43県に分割している。 府には府庁、県には県庁を置いて之を収めている。 又、朝鮮、台湾には之とは別に夫々総督府を、 満州の租借地関東州に関東州庁、南洋群島に南洋庁を置いている。
3府43県と府県庁所在地
府県府県庁所在地旧国名・管轄区域
東京府東京市武蔵野国の一部
伊豆七島
小笠原諸島
神奈川県横浜市武蔵国の一部
相模国
千葉県千葉市下総国の大部分
上総国
安房国
埼玉県浦和市武蔵国の一部
群馬県前橋市上野国
栃木県宇都宮市下野国
茨城県水戸市常陸国
下総国の一部
福島県福島市岩代国
岩城国の大部分
宮城県仙台市陸前国の大部分
岩城国の一部
岩手県盛岡市陸中国の大部分
陸前国の一部
陸奥国の一部
青森県青森市陸奥国の大部分
秋田県陸中国の一部羽後国の大部分
山形県山県市羽前国
羽後国の一部分
静岡県静岡市駿河國
伊豆国の大部分
遠江国
愛知県名古屋市尾張国
三河国
岐阜県岐阜市美濃国
飛騨国
石川県金沢市加賀国
能登国
山梨県甲府市甲斐国
長野県長野市信濃国
新潟県新潟市越後国
佐渡国
富山県富山市越中国
福井県福井市越前国
若狭国
滋賀県大津市近江国
京都府京都市山城国
丹波国の大部分
丹後国
大阪府大阪市摂津国の大部分
河内国
和泉国
兵庫県神戸市摂津国の一部
丹波国の一部
但馬国
播磨国
淡路国
奈良県奈良市大和国
和歌山県和歌山市紀伊国の大部分
三重県津市伊勢国
伊賀国
志摩国
紀伊国の一部
岡山県岡山市備前国
美作国
備中国
広島県広島市安芸国
備後国
山口県山口市周防国
長門国
島根県松江市出雲国
石見国
隠岐国
鳥取県鳥取市因幡国
伯耆国
徳島県徳島市阿波国
香川県高松市讃岐国
愛媛県松山市伊予国
高知県高知市土佐国
福岡県福岡市筑前国
筑後国
豊前国の一部
佐賀県佐賀市肥前国の一部
鹿児島県鹿児島市薩摩国
大隈国
宮崎県県宮崎市日向国
肥前国の一部
長崎県長崎市肥前国の一部
壱岐国
対馬国
熊本県熊本市肥後国
大分県大分市豊後国
豊前国の一部
沖縄県那覇市琉球国

首都(帝都)



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